聖光学院中学校高等学校

入学式

【平成29年度(60期生)入学式 歓迎の言葉】

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。並びに、保護者の皆様、おめでとうございます。中学受験という戦いをご家族、そして、塾の先生や周りの方々の支えによって乗り越えたことで、今日この日、無事に中学校の入学式を迎えることができているのだと思います。

 だからこそ、新入生の皆さんは支えてきてくれたご家族や周りの方々への感謝を忘れずに、これからの聖光学院での中高生活を送っていってください。

 すでに認識しているとは思いますが、新入生の皆さんは第六十期生です。つまり、皆さんは聖光学院で学ぶ生徒として六十代目であり、聖光学院自体も学校としての役割を六十年間務めていることになります。では、六十年前にこの学校が創設された目的とは何であったのでしょうか。その答えは皆さんが今、制服のポケットに持っている生徒手帳に書かれています。

 目的の一つ目は「キリスト教的精神に基づいた人類普遍の価値を尊重する人格の形成」です。言い換えると、皆さんのよく知っているであろうあの言葉「Be Gentlemen ! 」だと思います。私たち聖光学院で学ぶ生徒は日頃の生活で「紳士」とは何かを意識して生活することが大切です。紳士の要素の一つには、他人への感謝や礼儀があると思います。例えば、通学時に出会う地域の方々への挨拶、授業の始めと終わりの先生への挨拶、友達同士での感謝の言葉などです。また、このような素晴らしい校舎で6年間を過ごすことができることにも感謝の気持ちを持つことが大切です。感謝や礼儀の気持ちは言葉だけではなく、行動や表情にも十分に表れてくるものです。これからの毎日、少しづつ意識していくようにするとよいでしょう。いつか自然に紳士らしい行動ができるようになると信じて、僕たち在校生も日々努力していることです。

 目的の二つ目は「高尚、かつ、有能なる社会の成員を育成する」ということです。高尚であるということは、「学問・行いなどの程度が高く、上品である事」と、広辞苑には書かれています。つまり、僕たち聖光学院生は学問・行いの程度が高く上品で有能な社会人となれるように学院生活を送ることになるわけです。このような社会人になるためには中学・高校の6年間に様々な活動に参加し経験値を増やしておくことが必要ではないかと思います。

 聖光学院では、そのような機会が多くあります。聖光祭や体育祭では自分が担当する部門・役割でたくさん活躍できます。一例をあげると、聖光祭では、美化部門という委員になると、聖光祭の当日に校内で発生したごみを集めたり分別したりする担当を務めることで、清潔な校舎に来場者の皆さんをご案内するという重要な役割を務めることができます。中一・中二の夏休みには学年全体で斑尾高原という長野県の北部にあるキャンプ場にキャンプに行きます。ここでは、チームメイトと協力をして炊飯やトレッキング、YMCAの方々との様々なレクリエーション活動を行います。中二では、鎌倉への遠足や飛鳥・奈良・京都への研修旅行などで、グループ別に自分たちで行き先を決めて計画通りに行動する活動なども行います。さらには、クラブ活動で趣味や研究・挑戦したいことが共通な生徒同士で企画・提案をし団体を作り、活動している生徒のグループもあります。他にも、生徒会の企画や長期休み中の聖光塾、さらには海外へのホームステイもあります。このような活動を通して、社会の中でも能動的に活動する力を身に着けていくことができます。

 そして、「有能な社会人」となるには、学院生活では何といっても勉学に励むことが大切です。皆さんは、中学受験に向けた勉強を2~3年間続けた中で、今までは塾などのテキストやプリントに書かれている内容だけを覚えてそれをテストで答えるという受け身的な勉強をしてきた時間が多かったのではないでしょうか。さらには、すぐにやってくる塾のテストに追われて内容を詰め込んできてしまった受験生も多かったと思います。これからの聖光学院での授業の内容は高度で中学校の時点から高校生の内容にも少しづつ触れていき、授業内容の奥が深くなっていきますが、しっかりと先生の話を聞いて復習すれば追いついていけるようなカリキュラムとなっているので、心配はいりません。そしてこれからは少し時間に余裕があると思いますので、自分が興味がある分野の勉強は、自分で調べて勉強を進めることができ、それが授業内容の理解を深めることにもなり一石二鳥なのです。聖光学院の図書館には生徒が自由に使えるパソコンがあるので、これを利用することもよいと思います。このように、これからの勉強は自ら目標と計画を立てて主体的に行うことが大切だと思いますので、ぜひ、この6年間で自ら勉強内容に興味を持って意欲的に学習することを頑張ってください。

 そして、自分にあった自分なりの学習の仕方を早めに作り上げることも必要だと思います。例えば、僕らの学年では、試験の範囲となる授業内容を自分なりに理解しやすいようにノートなどにまとめて、そのノートを繰り返し見て覚えたり、英単語や漢字などは繰り返し書いて間違えないようにしている人が多いです。もし、勉強方法に関する悩みや疑問などがあれば、職員室の先生方や先輩に聞いてみると、役に立つアドヴァイスをもらえることでしょう。職員室には先生方が普段から生徒が入りやすい雰囲気を作ってくださっているので、緊張せずに入ることができます。

 とはいえ、今、僕の話を聞いている間も、新入生の皆さんは様々な思いを抱いているのだろうと思います。楽しみな気持ちでいる人もいれば、緊張している人もいるでしょう。最初から無理をして友達を作ろうとする必要はありません。最初はお互い知らない人同士でも、5月を過ぎるころにはお互いに緊張せずに話をできるようになると思います。学年が上がってクラス替えがあっても、また同じように仲良くなっていき休み時間には一緒に教室や食堂でご飯を食べたり、共通の話題で盛り上がったりジョークを飛ばし合ったり、違うクラスにまで行って友達同士で話をしたりするのが通常になってくるでしょう。きっと、聖光学院に通う日々を送る内に次第に不安や緊張は消えて、仲間と共に学び、同じ時間を過ごすことの喜びを皆で感じられるようになると思います。そして、先生方・僕たち在校生もこれからの第六十期生との学院生活をとても楽しみにしています。僕たち在校生と一緒に学院生活を充実したものにしていきましょう。改めまして、第六十期生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

平成29年4月5日

聖光学院中学校在校生代表 58期 瀧澤広樹