聖光学院中学校高等学校

英語

近年,日本人の英語力の低さが問題にされることが多く,日本の英語教育に関する議論も盛んですが,聖光学院では生徒たちが将来国際社会の中でも充分活躍できるように,英語力の基礎を確立する教育を行うように努力しています。基本的には「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能をバランスよく身につけるように授業を行っています。以下にその教育内容の詳細を述べます。

【前期】(中学1年,2年)

英語の時間は週7時間あります。1年では英語Ⅰ(3時間),英語Ⅱ(4時間)という分け方をして3人の教員が指導にあたっています。英語Ⅰでは主に「読む」「聞く」「話す」を中心に授業を行います。できるだけ多く英文に触れさせるため,文部科学省検定の教科書の他に,"Very Easy True Stories"というイギリスの出版社のテキストを使用しています。英語Ⅱでは主に「読む」「書く」を中心に授業を行います。平成15年度からZ会出版の"TREASURE"というテキストを利用して,文法を学びながら正しい英文が書けるように指導しています。2年でも同様に英語の時間は週7時間ありますが,英語Ⅰ,英語Ⅱが3時間ずつあり,もう1時間はネイティブによる英会話指導になります。英語Ⅰでは"Very Easy True Stories"の続編である"Easy True Stories"をテキストとして,1年のときと同様「読む」「聞く」「話す」を中心に授業を行います。英語Ⅱではひきつづき"TREASURE GRADEⅡ"をテキストにして,文法の基礎を確立していきます。英会話では授業の効率をはかるため,1クラスを2つに分け,2人のネイティブが"First Impact"というテキストを使いながら,「聞く」「話す」を中心として授業を行います。また,英語の成績が上がらない生徒のために,普段の放課後,夏休み等に補習が行われます。その他帰国子女で,すでに英会話に堪能な生徒に対しては,その英語力の更なる向上を目指し,ネイティブによる授業を行っています。

【中期】(中学3年,高校1年)

英語の時間は週7時間あり,中学3年の場合は基本的に中学2年のときと同じ指導方法で授業が行われますが,高校1年では英語R(読解)と英語G(文法)という分け方をして,授業が行われます。英語Rでは文部科学省検定の教科書"PRO-VISION"(桐原書店)を使います。中学の時に比べ,単語量も増え,抽象的な内容の文も増えてきます。この他に,担当教員が選んだ教材を使用することがあります。英語Gでは高校2年までかけて文法を総括的に学びます。テキストは担当教員が独自に作成したものを利用します。中学3年,高校1年でも英会話の授業が1時間あります。これは中学2年時より継続して行われるもので,1クラスを2つに分けて,それぞれネイティブが担当します。また,中学3年の夏休みには希望者を対象に,カナダでホームステイが実施されます。

【後期】(高校2年,3年)

高校2年からは生徒は文系,理系に分かれクラスは5クラスから6クラスに増えます。高校2年では,英語の時間は6時間あります。そのうち5時間は英語Rと英語Gの時間になります。高校1年からの授業の連続になりますが,内容的には大学受験にも対応できるように授業を行います。もう1時間はリスニングの授業です。できるだけ多くの英語を聞いて,それが理解できるように指導していきます。高校3年になると,英語の時間は文系は9時間,理系は7時間になります。英語講読と英文法の授業を行います。文系・理系ともにリスニングの授業が1時間あります。担当教員が主に大学受験問題をもとにして独自の教材を作成します。内容的にもかなり高度なものになります。また,高校2年からは夏期講習も多く行われ,生徒の実力を養成するのに役立っています。

以上,聖光学院の英語教育について述べましたが,公立に比べ,英語の時間数が多く,また生徒の資質も高いことから,だいたい公立の倍のスピードで授業が進められると考えてよいでしょう。具体的に言うと,中学3年では高校1年レベル,高校1年では高校2年レベルというように1年先取りした授業を行っています。生徒にかなりの負担を強いているようですが,ほとんどの生徒はお互いに切磋琢磨しながらその授業のスピードに追いついてきます。生徒の実力がどの程度ついたか,また教員の指導方法が間違っていないかを確かめるため,中学3年から外部の模擬試験を受験させ,他校との比較や前年度との比較を行っています。また,現在ではGTECという英語の試験を中2から高2まで全員に受験させています。英語検定も希望者を対象に実施しています。こういう模擬試験等を受験することで生徒自身も自分を客観視し,また自信をつけていきます。