中3 選択社会科演習
2023年10月19日
【中3 選択社会科演習】
「福島コース」
64期中学3年生は、他学年より少し早めに中間試験を終わらせ、現在、選択社会科演習に参加しています。
選択社会科演習は8つのコース(「青森」「瀬戸内」「お遍路」「福島」「小笠原」「屋久島」「つくば」「福祉」)に分かれ、それぞれの地域ごとに様々な体験をします。
わたしが引率する「福島コース」は、今年新しく始められたコースで、1日目に東日本大震災の被災地、双葉町を訪問しました。
福島第一原子力発電所を山一つ越えた先にある、「東日本大震災・原子力災害伝承館」や津波被害にあった「請戸小学校」を訪れ、被災地の当時の様子と現在の様子を同時に学びました。
請戸小学校の周辺は建物が一切なく、力強く育った植物の中に、静かに佇むその建物の姿に悲しみを覚えました。
災害伝承館には、当時の小学生の作文や被災時の写真が展示され、生徒たちは熱心に見学していたように思います。
この日、印象的な光景だったのは、「浪江町東日本大震災慰霊碑」に訪れたときの帰り際、生徒の多くがバスに乗り込む中、一人手を合わせて祈っている生徒の姿があったことでした。
祈るという行為は、生徒たちにとって日常生活から遠い行為かと思いますが、文化や宗教を越えて、概ね自然と胸の前で手を合わせる姿勢をとるようです。
その姿は、手を少し開くと水を手で掬い取ろうとする形に似ているように思います。
現実の中で起こる理不尽なことに対して、わずかな希望を溢さないように手に収めようとするようで、その姿を見ると人間の強さを見ているような気持ちになります。
わたしも母方の実家が津波の被災地である陸前高田という境遇もあり、非常に考えさせられる一日になりました。
2日目からは福島の観光地を巡るため、1日目の体験とは様子がガラッと変わりますが、この日、実際に目で見て、知ったという体験は生徒たちの中で何らかの種になると思っています。
一日も早い復興と、大切な人を失った方々の悲しみが拭われるようにお祈りするとともに、何かしらの形で力になりたいと思いました。
(学年主任の平松先生より)










